14.焼山峠の子授け地蔵
(山梨市)
(やきやまとうげのこさずけじぞう)

 昔々、焼山峠に向かう山奥に一軒の木地師(臼や杵など木の器を作る仕事)の家がありました。

  その家には老夫婦と若夫婦の四人が暮らしていました。冬の雪深い晩に、道に迷われた坊様と小僧さんを泊めて助けました。そのお礼に坊さまはこの家族の悩みを聴き入れました。「この奥の焼山峠に一体の地蔵様がある。その地蔵様を人目につかぬように、この家にお連れになり、さんしち二十一日間、人目のつかぬ床間などに置き、家族と同じ様に食事を与えて祈願すれば願いは叶うでしょう。また、願いがかなった時は、地蔵様をお返した後、一体では寂しいのでもう一体刻んで、元の地蔵様の隣に奉納しなさい。」と云われました。

  坊様の云われるようにしたところ、やがて子どもが授かりました。願いの叶った家族は、坊様の云われたとおり、焼山峠にもう一体の地蔵尊を背負いあげました。もとの地蔵尊様の近くまで来ると、そこには親子の狐の亡骸が横たわっていました。


 
 
 
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